【チームの未来】チームなんてない。それぞれの個々の関係性だけが鍵 ―ガイアックス 木村智浩氏

ガイアックス 木村智浩氏

これからのチームや働き方のあり方を、様々なフィールドで活躍しているビジネスリーダーに問うインタビューシリーズ「チームの未来」。第1弾は株式会社ガイアックス チーフカルチャーオフィサーの木村智浩氏に話をうかがった。

人と人をつなげるため、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーに注力し、社会課題の解決を目指すガイアックス。退職する新卒社員の6割が起業する起業家輩出企業として知られる同社では、チームという存在をどのように考えているのか。人事目線の考えや関心を抱いている価値観、そして会社の取り組みについて聞いた。

  1. チームはルールではなく、通じ合えるものを求めている
  2. ガイアックスが目指すのは、社員が幸福に生きること
  3. 会社と個人、個人と個人、「一緒にやりたいか」が重要に
  4. チームの未来は個々の関係性のなかにある
  5. まとめ

<プロフィール>
株式会社ガイアックス チーフカルチャーオフィサー
木村智浩氏

ガイアックス 木村氏

2004年4月にガイアックスに新卒入社。営業、新卒採用、経営企画などを経て、企業向SNS事業の立ち上げから国内シェアNo.1獲得に従事。その後、コンタクトセンター運用改善、ネット選挙事業を経て、現在は人事労務・広報・ブランドを担当。モンテッソーリ、ススキメソード、サマーヒルスクールが好きな四児の父。

株式会社ガイアックス:https://www.gaiax.co.jp/

チームはルールではなく、通じ合えるものを求めている

三田
「チーム」という存在の現状とこれからをどのように見ていますか

僕個人としては、ベースはチームなんてなくて、それぞれの個々の関係性だけが鍵だと思っている。みんなどうしたらいいチームを作れるのかと考えているが、そこにチームや組織なんてなくて、1人と1人の関係があるだけ。

みんなが求めているのは課題を解決できるチーム。それはもっと自分らしさをだせるチームで、本当はもっとお互いに信頼をベースに動けるようにしたいと願っている。ルールで縛るのではなく、もっと通じ合えるものを求めている。

一方でチーム・組織といった構造は人を管理するためのもの。だからそもそも「チーム」、「組織」という言葉を使う限り、いいことは起こらない。

それより、個々の関係がよくなればチーム・組織がよくなる。これはみんなが体感したことがあるはず。いいチームを作っていこうとするなら、チームや組織といった構造ではなく、個々の関係を見るといい。私たち個人が持っているニーズは1人1人違うのだから。

また、関係性を大事にして「相手に合わせる」、「空気を読む」という行為はよくない。それで本当の関係性を築けるのかという話で、その問いには多くの人がノーと答えるだろう。

個人と個人の関係性において大切なのは、どれだけ自分らしくいられるかということ。それはつまり、嫌われる場合もあり得るということ。八方美人で、なおかつ自分らしくいるという状態は、多くの場合両立しない。

「絆の反対は、人に合わせること」という研究もある。自分らしさという自分とのつながりを断ち切って、本当の意味で人とつながることは難しい。

必要なのは仮面ではなく、本当の自分に気づくこと

ガイアックス 木村智浩氏
ガイアックス社提供

だれしも、仮面をかぶったまま人とつながることはできない。仮面をかぶったままでは、思いが伝わらない。人にいえないこと、いったらどう思われるだろうと考えてしまうようなことをいえたときに、はじめて私たちはつながれる。

このような考えは社会で注目されているマインドフルネスやセルフ・コンパッションといったものにも通じる。「まず自分の本当の感情に気づき、受け入れることが重要」と、近年様々な場所で語られている。

欧米ではこのような価値観が、企業に積極的に取り入れられている。たとえば、早い時期にこれらの考えに注目し、変わった会社の1つがMicrosoftだ。

社員同士が個々の関係性を改めて構築していくために、Microsoftが社員に向けて発信したのは、NVC(Nonviolent Communication=非暴力コミュニケーション)の推進だった。これはつまり、共感的コミュニケーションの重要性を示すものだった。

同社の社員がチームになるためには、相手からの共感が必要だったのだ。そして相手から共感を得るために、まず自分の本当の気持ちを認識し、本当のニーズをちゃんと話すトレーニングからスタートした。

「〇〇して」ではなく、「僕は今こういう気持ちなんだ」と表現する。「なにやってるんだ」ではなく、「今それがないことで困っている。私はどうしようかとパニックになっている」と伝える。

自己主張をし、指摘や非難するのとは違うアプローチだということがわかる。私たちは、「おまえが悪い」といえるのに、大変なことが起こったときにツライといえない。弱みを見せられない。怒りや焦りはぶつけられるのに、気持ちを言葉にして伝えられない人が多い。

でも本当は感情を伝えて、共感してもらうことが大切。気持ちを伝えられればコミュニケーションが変わるかもしれない。個々の関係性を作っていくために、そういったコミュニケーションが重要だということに、社会が気づきはじめている。

今はまだ自分の痛みや不快の解放の手段として、非難が使われている。そうならないために、自分の気持ちを知っていく必要がある。それがマインドフルネスと呼ばれるムーブメントになっている。非難と自分の気持ちを伝える行為は、別物だと理解することが大切だ。

組織でメンバーは自分を見せられるか、組織自体も外に開けているか

自分の感情に気づいたうえで、弱さを見せあえる組織は強いといわれる。今世の中はそういう方向にむかっている。注目されているそういったあり方は、本質的だと思う。

さらにそこに付け加えると、組織はどれだけ外に開放しているか(出入り自由か)、どれだけカオスかということも重要だ。このようにいうと、「それだとチームとして崩壊しているのでは?」といわれそうだが、そうではない。

境界があいまいになっているだけ。組織のなかにいることが大切なのではなく、組織の内外を問わず、個人同士が関係性を築けているかがポイントになる。

メンバーが自分をだせず、賞罰やインセンティブなどでまとめられている組織が本当に強いわけではない。むしろ出入り自由で、みんなが選んでそこにいるようなチームが強い。

歴史に出てくる話、特に三国志ではそういうエピソード多い。目指すのは、自然の生態系と同じで、ごちゃごちゃだけど、エコシステムになっている状態。みんながイキイキと好き勝手に行動しているのに、機能している姿。

科学的には自己組織化というものがある。自己組織化とは、ランダムな状態にある構成要素が、相互作用によって特定の秩序構造を形成する現象。これについてノーベル化学賞を受賞したイリヤ・プリコジン氏は、下記のように語っている。

“その系が開放システムであること”
“非均衡の状態であること”
“ポジティブ・フィードバックが起こること”

これはいずれもいいチームの姿にあてはめることができる。

ガイアックスが目指すのは、社員が幸福に生きること

三田
現在の取り組みについて教えてください。

ガイアックスという会社をオープンな場所にしている。いろんな場・イベントが出入り自由。内と外の壁がなくなっている。たとえば社員合宿も株主総会も、社外の人が参加できて、社内の人が絶対に参加するわけではない。

組織を見るときのテーマとしては、社員がどれだけ自分らしさを発揮できるかを考えている。ガイアックスでは、部署異動をするとき、自分の所属上長に承認をとる必要がない。

一般的な会社では社内で部署異動をするときには事前承認が必要だが、社外へ出ていく転職時には必要ない。ガイアックスでの部署異動は、社内だけど、社会の動きと近い形になっている。

なぜそのようなことをするのか。それは、組織の建前が社員の動きを阻害し、部署異動できないために転職(社外に人材流出)していくことにつながるから。そうならないために社内の異動を、社外での転職と同じくらいシンプルにしている。それが社会の本当の姿だから。

また、働き方の部分での取り組みについては、会社として社員が自律的に、幸福に生きることを目指している。1人1人がどれだけ仕事に熱中しているかを見ている。個人を大切にし、会社に合わせることを要求しない。

ガイアックスには「ミッションを浸透させる」という言葉自体がない。これはミッションが不要なものというわけではない。社会的にも、会社としてもミッションは大事。それはわかるが、個人におしつけることはしない。

なぜなら、本当に大切なのは個人のミッションだから。個人のミッションがあったうえで、会社のミッションと重なる部分があるからその場所で働くことを選ぶ。逆になると本当の意味で幸せになれない。あるいは仕事に熱中できない。

だからガイアックスでは個人のミッションが先にある。会社のミッションは、個人のミッションを照らし合わせるためにある。

より開かれた会社に

また、ガイアックスは情報の発信方法が特徴的だといわれることが多い。たとえば、社内向けの連絡や伝達事項であっても、社内だけに見える場所で連絡するということをしない。全社発信の内容は多くがSNSや自社の公式サイトなど、外側から見える場で行われている。

ときには内側の人よりも先に、社外の人がそれに気づいて知っているということもある。直近の取り組みでいうと、2020年の新入社員はYoutubeで日報を上げている。Youtubeをみていると、会社内にいいものを留める必要はないということがわかる。

ノウハウ・学び・発見はどんどん社会に発信され、共有されている。ガイアックスの新入社員の日報に書かれた社内のノウハウや仕事を通じたアップデートの様子も、Youtubeの様々なコンテンツと同じようにだれかに見てもらえるといい。

新入社員の枠にとどまらない新しい仲間、新しい働き方

新入社員の話をすると、2020年4月に入社した総勢9名のうち4名が新規事業にアサインされている。入社と同時に会社の経営をやって、資金繰りもしている。行き詰って、悩んでいる。新入社員と思えない規模のプロジェクトに、思い入れを持って取り組んでいる。

新入社員を受け入れる組織にとっては、若いメンバーが入ってくることで、新陳代謝が起こり、文化が作られていく。それは企業が新卒採用をするメリットだといえる。

ところが、前述の通り、ガイアックスの新入社員は普通じゃない。「会社に入社するのか、それとも会社が出資するのか」という問いかけから会社との関係がはじまる。

社会全体に目をむけると、日本では雇用という関係が今まさに崩れてきている。背景にあるのは、起業・副業が極めて容易になっていること。自分の人生を自分で決めて、自分で生きる。働き方、働く場所、仕事内容、目標、それら全部を自分で選択できる。

このような雇用まわりのことをガイアックスという会社から見ると、社員が入社してくる感覚はなくて、「ガイアックスらしい」と思えるいろんな人と取引しているイメージ。今年の新入社員はまさにそれを体現している。

会社と個人、個人と個人、「一緒にやりたいか」が重要に

三田
オンライン化・デジタル化の流れが個人と会社に与える影響についてどうお考えですか?

流れの最も大きなものとして、クラウドソーシングがある。だれもが、いろいろな場所にいる人と仕事ができる。ガイアックスでは入社1年目の社員がアウトソーシングサービスを使う。自分で手を動かして取り組むべきタスクなのかを考えて決めている。

また、仕事における人材の存在感も変わってきている。たとえばテレワークしている社内のAさんと、クラウドソーシング先のBさんがいるとする。2人はどちらも社外の空間にいて、同じ仕事を任せられる。社内の人も社外の人も、同じ成果をだせる環境がある。

これはすごいことだと思う。今までとは明らかに違う人材の形が社会に浸透しつつある。

さらに今後、クラウドソーシングを使って仕事をしていた人が転職するとなったとき、個人で転職するのか、クラウドソーシング先を引き連れて転職するのかということを検討し、実行する機会も起こりうる。ここでも個人の関係性が重要になってきている。

結果的に、社内にいるみんながフリーランス感覚になっていく。個人が自分の仕事・キャリアを考えていかないといけない。それなのに会社は会社の考えを押し付けるのか。あるいは、社員は社員というだけで守られるのか。

どちらもそうではない。会社と個人、個人と個人、いずれも「一緒にやりたいか」が重要になってくる。

これからはますます個人が自分で考えて動かないといけない。私はどんな強み、特性、才能をもっているのか。それらを活かしてどんな仕事をし、付加価値を持たせられるのか。どう事業に貢献できるのかを考えながら仕事をしていく。

会社で決められたようにやっていると、そういったことが見えなくなる。仕事は自分で考えるから一生懸命になれる。人からいわれて働くと、うまくいかなかったとき、人のせいにする。それでは高いパフォーマンスを発揮できない。

「失敗しないようにこうしろ」といわれれば、思考が停止し、何も考えずに仕事をするようになる。指示に沿って忠実に働くだけならクラウドソーシングでいい。仕事のパフォーマンスは自分自身のことを理解し、熱中できる役割や幸せを考えることで向上する。

会社は社員になにを用意しているのか

オンラインミーティング

個人の存在感が大きくなっているなかで、会社のあり方も変化のときを迎えている。これまで会社は、社内組織を維持するための人(管理職)に報酬を支払って、クライアントに「個人より会社のほうが信頼できる」をいう安心感を与えてきた。

しかし、最近では個人から品質の高いものが上がってくるようになった。そうするとクライアントにとって、会社という組織は必要ではなくなってくる。

また、社員にとっては、企業は今後、「この会社にいたら、何かしらの仕事が回ってくる」と思える場に、あるいは社会保険や安心を得るための場所になっていくかもしれない。

こういう話をするとガイアックスではどうなのかと思われるかもしれない。ガイアックスが社員に提供しているのは、自分で社員の立場をこえていけるという価値だと考えている。

具体的には、申請して審査を通れば、自分が携わっている事業を子会社化できる。資本を得て、経営者サイドにシフトできる。そういう新しい働き方へのチャンスがある。

新しい働き方という意味では、副業・パラレルキャリア・テレワークをしている個人が社会でどんどん増えて、強くなってきている。今の時代は多様な友人を持つ人ほど強い。社内人脈だけでは、社会に貢献し、社会で自分の価値を発揮していくことが難しい。

だから個人は「会社人」ではなく、「社会人」になることが重要。個人は今後、「社内・リモートで働くあなたVSクラウドソーシング」というかたちで見比べられるようになる。

もちろん、会社としてもこういった働き方の多様性を許容できなければ、生き残りにくくなる。

チームの未来は個々の関係性のなかにある

三田
チームの未来はどのようになっていくと思いますか?

これからは今までの管理された会社組織ではなくなる。今後、会社が提供するのはバックオフィスの支援だけになり、チームはクラウドソーサー同士でマッチングして決めていくことができるようになる。社内から社外へ、チームの組み方の選択肢が開かれていく。

また、評価・賞罰・強制などの人為的な外発的動機で動く組織はなくなっていくことが予想される。その仕事自体が楽しいと思えることが、多くの人にとって仕事をする動機になる。

今それをやっていることが幸せだと思える個人や、仲間とともにチームで熱中できる仕事を追求できる組織が高い幸福度を維持し、ハイパフォーマンスを出せるようになる。

この春、新型コロナウィルスの影響で多くの企業がテレワークにシフトした。もしくは地方に移住し、副業をはじめて、会社への依存度が低くなった人もいる。これからはインセンティブやボーナスのためではなく、遊ぶように働くために徹夜をするという人が多くなる。

熱中することで創造性が生まれ、個人の幸福度に連動して生産性やクリエイティビティが高くなるということがわかってくる。外からの評価のためではなく、「好きだからやっている」という自分自身の感情がクリエイティビティをあげていく。

それができるかが、個人にとって、そしてチームにとって重要になる。そんな組織を具体的にイメージするならどのようなものになるのか。理想の姿は幼稚園にある。

マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボのミッチェル・レズニック教授は、Forbes JAPAN 2019年06月号に掲載されたインタビューにて、生涯幼稚園(Lifelong Kindergarten)が創造性の鍵だといっている。

“学校に通い出すと、座って教師の話を聴き、課題をこなすだけで、創造的な能力を伸ばせない。米国では今や幼稚園も学校化し、算数の課題などをこなす場所になりつつあるが、私たちの望みは、学校が幼稚園のようになることだ。”

また、イノベーションおよびイノベーション教育の研究者であるトニー・ワグナー氏(ハーバード大学テクノロジー起業センター初代フェロー)は著書『未来のイノベーターはどう育つのか』のなかで、下記のように語っている。

“イノベーションで重要なのは、アイデア(いいものも悪いも)が育つ文化を作ることであり、アイデアを実験することに伴うリスクの扱い方を学ぶことだ”
“イノベーションは不服従と切り離すことはできない”

それぞれが自分らしく生きられているか、自由に表現できているか、さらには信じて見守ることができているか。いいチームがなにかを考えるには、幼稚園で当たり前に築かれているこれらの関係性にフォーカスすることがポイントになる。全てはそこからはじまるのだ。

キャリア自立はだれのためのものか

ガイアックス 木村智浩氏
photo by Niko Lanzuisi ガイアックス社提供

組織と組織に属して働く人の関係を考えるとき、個人がキャリア自立していいのかという問題もある。個人にとってキャリア自立は重要だが、それをチームや企業にどう説明すればいいのか。

たとえば企業からすると、キャリア自立は「寝た子を起こすのか」というかたちで受け止められる。

従順に仕事をやってきてくれていたのに、自分のキャリアを考えはじめることで、これまでの仕事をやらなくなるのではないか。社員の「こんなことしたい」というワガママを聞く必要はあるのかと。

世界に目を向けると、キャリア自立支援は1992年にシリコンバレーではじまった。もともとIBMやHP(ヒューレット・パッカード)はノンレイオフポリシーを掲げていたが、不景気によってポリシーに反したアクションを避けられなかった。

企業はそうしたくはないが、企業の存続すら危ぶまれているなかでせざるを得ない。ではどうするのか。社員が他の場所でも働けるように、他社からも雇われるようにのエンプロイアビリティ(雇用される力)を上げておかなくてはならない。

つまりキャリア自立支援は企業と社員の双方を守るためにはじまったものだったのだ。

近年の日本は、雇用の流動化ができないまま、キャリアが不安定化するというバランスの悪い状態にある。組織のなかでキャリアが積みあがらず、1つの組織で働くこと=安定ではなくなった。

働き手は計画的にも長期的にもキャリアを見通せず、会社も社員に次のポスト(キャリアステップ)を用意できなくなっている。そして、そのような社会状況において、キャリア自立は人材の求心力になっている。

キャリア自立支援は定着率向上や、中年の不活性化人材の活性化につながり、会社にぶらさがっているような人材を刺激していく。キャリア自立を促すことで自分の思いやニーズに気づいて、自分らしく仕事するようになる。

ロボットのように働いていた人が自分で考えて働くようになる結果、外発的仕事満足度で働く人が減ってきている。近年大企業で人が辞めているといわれるのは、自分が本心から熱中できる仕事でなければ、やり続けられないからだ。

必要なのは個人を引き出すチーム

THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?
出典:THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?

オックスフォード大学のカール・ベネディクト・フレイ氏とマイケル・A・オズボーン氏が発表した論文『雇用の未来』では、AIの進化によって今後多くの仕事がなくなるという。

はたまた、新型コロナウィルスのパンデミックのような出来事が起こって、給付金やベーシックインカムによる生活が普及する可能性もある。多くの人々が今は高い家賃が必要な都会暮らしのために働いているが、地方で暮らしはじめたら生活は変わる。

私たちは今、価値観の大転換期にいる。目の前のお金ではなく、ウェルビーイングや幸福度がライフスタイル・ワークスタイルにおいて最も重要になる。すると大切になってくるのは、好奇心を持って没頭できる時間。それはアートのような時間だ。

そうした時間を持つために必要なのは、やはり1人1人が自分自身を知ること。組織での教育・研修・チームビルディングの前に、個人が何にワクワクするのか、それぞれが何をしたいのかを明らかにすることが重要なのだ。

さらに、自分を知る工程を通じて、人と知り合って、個人と個人の関係を作り上げていくことが大きな楽しみになる。

「売ってこい」、「ボーナスあがるぞ」、「とにかくがんばれ」では、もうがんばれない。「あなたらしくいるためには」、「何を実現したい」、「どうしたらがんばれる」を企業が個人のために一緒になって考える。

それは、自然や命の営みに近いもの。摂理に則って行うことであり、つまりは効率的だということ。

仕事の動機付けにおいて、インセンティブを目的にして働くだけでは、個人の人格形成・価値観形成はできない。また、チームの姿としても、メンバーが上司に従順な人材ばかりでは、組織は成長しない。

「あなたが熱中しているものは何ですか?」、「もっと熱中するためにどうしたらいいですか?」とチームが問いかける。これからは個人にフォーカスし、個人を引き出すチームが必要とされる。

自分を正しく理解し、個人同士の関係性を深めることが、いいチームになるための大きな、そして欠かせない第一歩となるだろう。

まとめ

「チームの未来」インタビュー第1回目として、今回はガイアックスの木村氏に話をうかがった。木村氏の口からは、「個人と個人の関係性が大切」だということが一貫して語られた。国内外の社会の流れ、人事の現場で起こっている事例、様々な具体的なエピソードはとても説得力があった。

これから働き方や会社、チームのあり方はますます変化していくだろう。多くの人が、それが避けられないことだとわかっている。木村氏の「個人と個人の関係性だけが鍵」という言葉は、私たちの仕事を取り巻く枠組みがどんなに変わっても、ゆるぎない道標となりうるものなのではないだろうか。

※インタビュー日:2020年6月

<参考文献>
・Forbes JAPAN「生涯幼稚園」が創造性のカギになる MIT教授が提唱
https://forbesjapan.com/articles/detail/27664
・トニー・ワグナー(2014)『未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(藤原朝子訳)英治出版
https://www.amazon.co.jp/dp/4862761798
・THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

執筆者・編集者紹介

執筆

正社員+業務委託で4社と契約を結ぶパラレルワーカー。様々なチームに所属し、1つの会社に依存しない働き方を体現しています。ライターとして800本以上の記事制作実績があり、得意分野は組織、キャリア、働き方関連。

編集

様々なバックグラウンドがある個人が尊重され続けるチーム作りを目指して、「対話」と真剣に「楽しく遊ぶ」ことをデザインしたチームづくりのためのプログラム「アクティ場 For Team」を提供しています。

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