【チームの未来】ひとりひとりが世界一幸せを実感できる場を創り出すUnleash社が描くチームの在り方

unleash 長浜 勝志

これからのチームや働き方のあり方を、様々なフィールドで活躍しているビジネスリーダーに問うインタビューシリーズ「チームの未来」。第7弾は株式会社Unleashの代表取締役である長浜 勝志氏に話をうかがいました。

株式会社Unleashは社員ひとりひとりの「在り方」を整え、経営・人事課題の解決を支援する研修サービスを提供しています。人材開発・スキルアップ、関係構築、組織開発、それぞれの分野で研修を実施し、多くの個人・チーム・組織を見てきた同社。今回は代表である長浜氏に、これからのチームについて語っていただきました。

  1. 情報提供で企業と、企業にいる個人を幸せに
  2. チームは個人が能力を発揮できる、活躍の「場」
  3. チームにとって、コミュニケーションがより大切に
  4. 常にともに働くメンバーだから、大切な価値観を共有できる
  5. まとめ

<プロフィール>
株式会社Unleash 代表取締役
長浜 勝志(Nagahama Katsushi)氏

長浜 勝志
1964年神奈川県生まれ。キヤノン販売株式会社(現キヤノンマーケティングジャパン株式会社)に勤務し、営業、販売 推進、販売企画を経験。
2000年からは「生命保険業界を変える!」という企業ビジョンに共感し、ソニー生命保険株式会社に転職。以来、連続挙積は500週、転職以来17年間MDRT会員の入会を果たし、現在MDRT成績資格終身会員。世界5,500人に与えられるHONERROLLの称号を持つ。
過去に自らが人間関係を原因に鬱になった経験を持ち、世の中から鬱になる人を無くすというビジョンを掲げ2015年12月株式会社Unleash(アンリーシュ=解き放つ) を起業。
世の中への情報提供を通じ、人の人生の質の向上に貢献を掲げ活動をしている。

■「株式会社Unleash」公式サイト
https://life-unleash.co.jp

情報提供で企業と、企業にいる個人を幸せに

三田
現在の取り組みについて教えてください。

私たちUnleashは「情報提供を通じ、人の人生の質の向上に貢献する」という企業理念のもと、クライアントに研修サービスを提供しています。これまでは中小企業向けのサービスをメインで手がけてきました。

なぜ企業への支援を事業にしてきたかというと、企業の97%を占めるといわれる中小企業を元気にすることが、日本を豊かにすることにつながると考えてきたからです。もちろん、日本社会において上場企業が果たす役割も大きいと考えています。

どの会社も事業を通じて永続しようとしているでしょうし、そこに集う人たちに幸せになってほしいという思いがあります。この思いをかなえるために、私たちは企業に向けて情報提供しているのです。

三田
どんな情報提供をしているのでしょうか。

大きく2つの領域にわけられます。1つ目が採用、2つ目が研修です。

●採用領域について

企業が人材採用にかけるコストは高額です。にもかかわらず、入社後に企業と人材の間でミスマッチが発生する場合があります。私たちが提供しているのは、企業の採用にかかるコストとミスマッチのリスクを軽減するサービスです。

具体的にはスカウトから面談・面接、経歴などの書類チェックを丁寧に、時間をかけて行います。文字情報からどんなタイプなのかを見極め、タレントマネジメントの観点で適性を判断し、実際にお会いするという形です。

企業が手間や時間をかけられないところをサポートし、人材採用に適切で有益な情報を提供しています。

●研修領域について

良い人材を採用しても、その人が会社を辞めてしまっては意味がありません。そこで私たちは人が辞めない仕組みを組織に根付かせるため、研修を通じて社内の場を変えていくサービスを提供しています。

同時にこの仕組みは真の仲間作りに必要なことでもあります。目指しているのは言いづらいことも言い合える仲間・チームを作っていくことです。相手を否定せず、言いたいことを言い合える関係を、ともに働くメンバーと築ける研修を用意しています。

企業が事業を継続していく過程では、常に無理難題がふりかかってくるものです。Unleashの研修サービスは、そのような事態に対して、チーム全員の力で立ち向かうための組織作りを支援します。

チームがアイデアを出し合って意思決定し、スピード感をあげて課題を解決できるようになるのです。決めたことを守り、やり遂げ、生産性をあげていけるチームになるための会議や面談のやり方なども伝えています。

●企業のなかの個人に向けたサポート

また、私たちは企業向けだけでなく、企業のなかにいる個人に向けたコンサルも行っています。そして、個人に対するコンサルで習得できるのは、「無形資産」の作り方です。

無形資産を作るというのは、スキルをあげる・できることを増やすということよりも、人間力をあげていくということです。使命感、死生観、解釈力を培っていくのです。

これは人生100年時代において自分を守っていくための資産になります。個人はこのような資産を増やしていくことで、人生の豊かさや幸せを感じられます。そして、仕事を通じて実感できれば、「この会社で働いていて良かった」という思いにつながるのです。

私たちはこのような実感を持てる人をひとりでも多く増やすために、「ひとりひとりが世界一幸せを実感できる場を創り出す」というビジョンを掲げ、企業と個人に向けた情報提供サービスを手がけてきました。

今後はより個人にフォーカスし、オンラインで個人向けサービスを展開したいと考えています。

チームは個人が能力を発揮できる、活躍の「場」

三田
「チーム」という存在の現状をどのように見ていますか?

チームという言葉を定義するなら、共通の目的・目標、共通の理念・ビジョンのために自分の能力を発揮できる「場」だと思います。チームとは、人ではなく、活躍の場です。

そのうえで、ひとりひとりが自由と責任を取るという合意形成ができていなければなりません。やりたいことがあるなら、やりきる気持ちと能力が必要です。

たとえば、ラグビーの強豪として有名なニュージーランドのオールブラックスは、ノールックパスをします。仲間を見ずにパスを出すには、仲間への信頼と突然のパスを受け止める能力が必要になります。どちらか片方でも欠けると成立しません。

また、チームにはプロジェクトがあります。プロジェクトは理念の具現化であり、チームにとって、プロジェクトを成し遂げることは重要です。そして、プロジェクトに取り組む際、チームは同じ方向をなんとなく向いているくらいが良いと思います。

なぜなら、チームには価値観が違う人が集まっていて、目標達成の方法もひとりひとり異なるからです。目的をゴールとすれば、目標は通過点で、そこまでの登り方は人それぞれです。違いがあるからケンカや言い合いもしますが、それも相手を信頼していなければできないことです。

三田
チームのこれからをどう考えていますか。

チームの多様性が、問題解決をよりやりやすくすると思います。

企業の中のチームには常に問題が発生します。その問題を解決するためにいつも変わらない10人のチームで知恵を出しあっても、思いつく解決策はある程度限られているでしょう。

しかし、10人のメンバーには5人ずつ知り合いがいて、なかには専門家のような人もいるものです。これからは、そのような人たちの知恵も借りてプロジェクトを進行することが増えていくと考えています。

多くの人がすでにやっていたことですが、新型コロナの影響でやりやすくなったのではないでしょうか。今後はさらに、思考の枠組みの変化が進んでいくでしょう。

長浜 勝志氏

「チーム内で完結しなければならない」という意識が、「チーム外の力を借りていいんだ」と、前提が変わっていくイメージです。いろんな人が知り合う機会が増えたからこそ、できるようになったことでもあります。

また、チーム作りと仲間作りは似ています。たとえば、弱いチームは職場で仕事・プロジェクトの話しかしません。一方、強いチームは仕事だけでなく、悩みを言い合える場や、言っても良いと思わせてくれる仲間を持っています。

そういう場や仲間ができていれば「ばかにされるかもしれないけど、言っても良いかな」と思えて、仕事でもそうでないことでも本音のコミュニケーションがとれるようになるのです。

三田
ダニエル・キムが提唱する「関係の質」を高めていくということでしょうか。

そうですね、関係の質を満たすためには、コミュニケーションの「量」と「質」が重要だということです。チームにとってコミュニケーションは大切なことなのです。

プライベートの悩みを言い合える。思っていることを会議の場で言える。そのような形でチームで話ができるのは、良い仲間になっている証拠ですよね。そして、そういった関係を築くために重要になるのは、「ありがとう」を繰り返し伝え合うことです。

注意が必要なのは、褒めると感謝するは違うということ。褒める行為は相手を勘違いさせ、感謝は人と人を繋げるものです。

三田
チーム作りにあたって、他に大事にしていることはありますか。

「どんどん相談する」ということを推奨しています。

2割の人間が優秀な働きをし、6割の人間が普通の働きをし、2割の人間がよくない働きをするという「2:6:2の法則」を、私は自主性と主体性の観点で次のように捉えています。

2:自分で考えて実行し、結果とともに報告してくる人
6:わからないことについて、教えてくださいと言える人
2:具体的な指示を伝えないと動けない人

6になるか、2になるかをわけるのが、相談できるかどうかであり、ここにチーム全体の自主性・主体性があらわれてくると思います。

また、今後は組織に属さない人がチームに加わり、プロジェクトに取り組む機会が増えてくるでしょう。個人が集まってプロジェクトを進行していく動きです。プロジェクトが細分化され、その1つ1つに個人が割り当てられていくイメージです。

各メンバーが専門分野を活かし、できる人同士で作るチームは結集・解散が容易になる分、永続的なものにはなりにくいと考えています。

チームにとって、コミュニケーションがより大切に

三田
オンライン化・デジタル化の流れが個人と会社に与える影響についてどうお考えですか?

鍵となるのは、個人にとっても、会社にとっても、本当にやるべきことに時間を使えるかどうかだと考えています。

たとえば、営業という役割で説明させていただくと、大事なのは傾聴力です。

オンライン上での情報収集が容易になり、営業活動の大部分がオンラインにシフトしていく流れはこの先も増していくことでしょう。

その分、お客様を本当に大切にしている姿勢と大切にされている実感値を、オフラインとオンラインを行ったり来たりしながらチームが作り上げていく。そして、最後は結局1対1のコミュニケーションが大事になります。

つまりデジタル化→自動化の先にあるのは、やるべきことの時間を使っていくようになるという結果であり、やれることの質を上げていくための行動ではないでしょうか。

しかし、「本当は何をしたらいいのか」に対する答えを持ったうえで、オフラインとオンラインを結びつけた活動に取り組んでいる企業は多くないと感じます。

また最近、ハードウェア・ソフトウェア・データ活用のサービスすべてを一社で手がける会社も出てきているという話も耳にしました。

このようなサービスの台頭はこれまでハードしか作らなかった会社が、デジタル分野(ソフト・データ活用)にも取り組み、クライアントの要望を一気にかなえるサービスにシフトしないと生き残っていきにくいということを示しているのかもしれません。

プロセスをすべて手がけるには、これまでのチーム構成で実現することは難しいでしょう。そのために組織に属さない人に、チームに加わってもらわなくてはなりません。今までの当たり前が変わってきていることを理解し、自分たちも変わらないといけないと思いますね。

三田
チームにとっての課題についてはどう考えていますか。

オンライン化によって、コミュニケーションが希薄になることは避けられないでしょう。

また、オンラインではチームが作りにくくなると思います。放っておくと、いつもできる人ができる人とチームを組むという形になることが予想されます。

しかし、できる人だけでやるようになり、できない人が参加できなくなるという状況は、回避しなければなりません。それは、不幸せな人がでてくるということだからです。

そして、そのために、関係性の軸となる「感謝」をどのように伝えていくかが重要になると思います。今までは一緒にいたから「感謝」と「褒める」を違うものをして、コミュニケーションをとることができました。

これからはそれに変わるものを考えるのか、離れてもやりきるしかないと思います。そうしなければ、会社でチームを作れなくなってしまうでしょう。

一方で、この部分にしっかり対応できれば、オンラインでもチーム作りはできると思います。永続的な組織を作るための価値観共有には時間がかかりますが、オフラインでのノウハウがたまっていれば、オンラインでもできるはずです。

たとえば、私たちはサンクスカードを使って「ありがとう」を伝える仕組みを、オフラインからオンラインへと移し、運用してきました。今ではオフラインで使っていたときと同じように、スタッフ同士の感謝のメッセージがオンラインで毎日飛び交っています。

こうしたことを通じて、オフラインでできていたことはオンラインでもできるということを実感しています。

常にともに働くメンバーだから、大切な価値観を共有できる

三田
チームの未来はどのようになっていくと思いますか?

多様性のところでも話したように、プロジェクト型のチームは増えていくでしょう。それに伴って、クラウドソーシングサービスと社内メンバーによる仕事が比較されるようになると考えています。

ただ、クラウドソーシングを活用するのは良いと思いますが、頼りきりになると、品質が下がってしまうのではないかと危惧しています。

外部へのアウトソーシングでは特定の優秀な人材に仕事が集中します。一方で、その人材には会社へのエンゲージメントはありません。だから質が下がっていく恐れがあります。仕事を受ける側は良くても、発注する企業が永続的に発展するのは難しいのではないでしょうか。

つまり、仕事には企業への愛着心が必要ということです。企業への愛着心とは、そこにいる人への愛着心です。そして、愛着心がないと良いチームにはなれません。

理念や行動指針といった共通言語を通じて、働き手はチームになっていきます。「これをしてはいけない」という教育も含めて、チームはできていきます。その場しのぎのチームには教えられないことがあるのです。

「なんでも言い合う」、「感謝と褒めるは違う」、「ケンカしてもいい」、「共通の目標のために自分の果たすべき責任を果たす」といった大切な価値観を共有できるのは、常にともに働くメンバーだからです。

繰り返しになりますが、こうした価値観共有には感謝を伝えるということをはじめ、泥臭く、本音のコミュニケーションを取り続けることが必要です。そして、それは共通の目的・目標を持つ仲間だからこそできることだと考えています。

これがその場しのぎのプロジェクトメンバーとの違いでしょう。

●自己肯定感をベースにした関係性作り

今、あるオンラインコミュニティに参加しています。オンラインで、メンバー同士が自己肯定感を高め合うプログラムに取り組んでいるのですが、そこで面白い体験をしました。

参加者はそれぞれに自分のクレド(理念、行動指針、お客様になにを約束するのか)を作るのですが、作成過程で参加メンバーに自分史を語ります。自分史を聞いたメンバーはその人を応援したくなって、メンバーたちはいつの間にか1つのチームになっていったのです。

バックボーンを知っているからこそ、相手のクレドに対して言いたい放題言い合って、「一緒に事業やりましょう」とまで言えるようになりました。これは本音で語れるようになったからできたコミュニケーションです。

そして、そのきっかけは自分史を語り、聞くという行為を通じて、自己肯定感をベースにした関係性を築けたことにあったと思います。

個人が生きていくうえで、不安な未来のためには行動が必要です。そして、行動するためには自己肯定感が重要になります。さらに自己肯定感は、まず自己開示をし、次に人から承認されるというプロセスを経て得られます。

自分は人に受け入れられる存在なんだと感じて、自分そのものを承認されるという感覚が大切なのです。自己肯定感があがる経験をして、なにかを新しいことしようとすると、まわりにはすでに自分を受け入れてくれた仲間がいます。

私たちにとってこのようなステップはもともとアナログでやってきたことです。アナログでできていたから、今回、オンラインでもできたのだと思います。

オンラインコミュニティでの今回の体験は、オフラインでもオンラインでも、結局のところ泥臭くてもこうしてコミュニケーションを何度も取ることがチーム作りに有効だということを実感させてくれる出来事でした。

まとめ

「チームの未来」インタビュー第7回目は、株式会社Unleash 代表取締役の長浜氏に話をうかがいました。多くの企業のチーム作りを支援してきた長浜氏は、オフラインでもオンラインでもチーム作りのやり方は変わらない。だけど、それを泥臭く続けることができるかどうかというメッセージでインタビューを締めくくりました。

今後、働き方が多様化していくなかで、チームの関係性を深めるコミュニケーションの重要性は、これから一層増していくはずです。新しいチームの在り方に対処していかなければならない企業と働き手にとって、オフラインでできることはオンラインでもできるという長浜氏の言葉は、勇気をもらえるものなのではないでしょうか。

執筆者・編集者紹介

執筆

正社員+業務委託で4社と契約を結ぶパラレルワーカー。様々なチームに所属し、1つの会社に依存しない働き方を体現しています。ライターとして800本以上の記事制作実績があり、得意分野は組織、キャリア、働き方関連。

編集

様々なバックグラウンドがある個人が尊重され続けるチーム作りを目指して、「対話」と真剣に「楽しく遊ぶ」ことをデザインしたチームづくりのためのプログラム「アクティ場 For Team」を提供しています。

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