【チームの未来】「サービスの世界観・個人の情熱が新しい仲間をチームに引き込んでいく」。アウトドアレジャー事業を通じて、新たな展開にチャレンジするそとあそび社のチーム観。代表 横峯氏インタビュー

そとあそび 横峯氏

これからのチームや働き方のあり方を、様々なフィールドで活躍しているビジネスリーダーに問うインタビューシリーズ「チームの未来」。第9弾は株式会社そとあそび 代表の横峯 樹氏に話をうかがいました。

同社は自然の中で体験できる素晴らしい時間をたくさんの人に届けたいという思いを軸に、アウトドアレジャーに関わる事業を展開してきました。現在は代表交代による社内の変化と新型コロナウィルスによる社会の変化に際して、自分たちが何をしたいのかをもう一度見つめ直している最中だといいます。

今回は代表 横峯氏に、同社のチーム観と、事業を見つめなおす過程で考えたことについて語っていただきました。

  1. 自然やアウトドアを身近に感じてもらうために
  2. 情熱が人を引き付け、心地良さが人を取り込む
  3. オンラインにもオフラインと同じ空気感を
  4. これまでの在り方にとらわれないチームが増えていく
  5. まとめ

<プロフィール>
株式会社そとあそび 代表取締役社長
横峯 樹(よこみね たつき)氏
横峯 樹
2012年 株式会社ガイアックスにてSNSなどの開発に従事。
2014年より株式会社そとあそびにエンジニアとしてジョインし、アウトドアレジャー予約サイトそとあそび、 アクティビティ予約台帳システムウラカタの開発を推進する。
2015年には最高技術責任者、2018年にはウラカタの事業責任者を務めた後、2019年11月より現職に就任。

自然やアウトドアを身近に感じてもらうために

三田
現在の取り組みについて教えてください。

私たちそとあそびが現在提供しているサービスは、アウトドアレジャーの予約サイト「そとあそび」とアクティビティ予約台帳システム「ウラカタ」、そして、アウトドアレジャー情報サイト「そとあそびライフ」の3つです。

①アウトドアレジャーの予約サイト「そとあそび」

そとあそび

そとあそび」はレジャーの種類・エリア・こだわり・ランキングといった様々な分類で、ユーザーが自由に好みのツアーを探すことができます。

掲載しているツアーは、そとあそびのメンバーが実際に参加・体験し、プロの目で取材した情報をもとに紹介しています。

サイトを利用するユーザーに対して、「安全であること」、「ユーザーに合うツアーが見つかること」、そして、「役立つ情報が満載で、ツアーがもっと楽しくなること」という価値を提供しています。

②アクティビティ予約台帳システム「ウラカタ」

ウラカタ

2つ目のサービスである「ウラカタ」はアウトドアサービス提供者向けの予約台帳システムです。

私たち自身が「そとあそび」というアウトドアレジャーの予約サイトを運営し、管理業務の手間をどうにかしたいという思いを抱いたことがきっかけになり、開発したシステムです。

個人ガイド様から複数拠点を持つ事業者様まで、あらゆるアクティビティ提供者の事務作業の負担を軽減し、予約申し込みの増加を目指しています。

新型コロナウィルスの影響で観光やレジャーに関わる業界は苦しい状況にありますが、「ウラカタ」は堅調で、導入数は500件を超えました。この広まりの原動力になっているのは、導入先の事業者様からの「もっと多くの人に知ってほしい」という声です。

ツアーの管理に関わる部分でお困りの方が、知り合いの方から「ウラカタ」の評判を聞いて、導入するという事例が増えてきています。システムを通じて多くのガイド様・事業者様の役に立てていると思うと、とても嬉しいですね。

③アウトドアレジャー情報サイト「そとあそびライフ」

そとあそびライフ

3つ目のサービスは「そとあそび」への集客を目的とするオウンドメディアとしてスタートし、独立したアウトドアレジャー情報サイトへと成長した「そとあそびライフ」です。

今では年間1350万人に利用していただき、ユーザーにアウトドアレジャーについての様々な情報を提供しています。「そとあそびライフ」については、今後も1つのサービスとして展開していきたいと考えています。

三田
昨年代表に就任したばかりだとうかがいました。代表就任後、横峯さんが取り組んでいることについて、詳しく聞かせていただけますか。

私が代表に就いたのは2019年の11月のことです。代表就任後、まず取り組んだのは組織改革でした。半年ほどかけて組織の規模感を再検討し、そこから改めて自分たちを見つめ直しています。

「そとあそびって何なんだ」という問いをメンバー全員でディスカッションし、今まさに会社・サービスの新しい形を作っていこうとしているところです。

その過程で見えてきたのは、私たちはただ予約サイトを運営したいわけではないということです。予約サイトはあくまで入口で、本当の提供したい価値は「自然やアウトドアを身近に感じてもらうこと」だという思いに行きつきました。

目指している世界観・良いと思う世界観は「そとあそびというものが身近にあったら、心が豊かになるよね」というものです。それがみんなで目指すべき世界観だということを、メンバー全員でのディスカッションを通じて確認しました。

横峯 樹

もちろん、ユーザーによる検索から、良質な体験を安全に提供してくれる事業者様へのマッチングに関わる部分は重要です。しかし、それは一部分でしかありません。その先を目指したいと考えています。

たとえば、ツアー体験を通じて、ユーザーがアイテムを購入するということがあると思います。ラフティングをして水に触れる楽しさを知って、ラフティングボートの所有は難しくても、カヌーやSUPボードを買って、水と触れ合う機会が増えていくようなイメージです。

レジャーがユーザーのライフスタイルになっていく、あるいは、生活の中にアウトドアが溶け込んでいくという言い方ができるかもしれません。「そうなっていくといいよね」という価値観が自分たちの中にあるのです。

そのようなレジャーの在り方やユーザーのマインドを後押ししていくためには、予約サイトだけでは足りないと考え、いろいろなことを仕掛けているところです。

情熱が人を引き付け、心地良さが人を取り込む

三田
メンバー全員と大切なディスカッションをしているとのことですが、そうしたメンバーが集った「チーム」という存在をどのように見ていますか?

私が「チーム」という言葉に対してイメージするのは、漫画のワンピースやキングダムに登場するような、個人のWill(意思)を達成するために集まる仲間たちですね。

それから、チームになるため、チームに加わりたいと思うためには「心地良さ」が1つのポイントになると思います。

これはキングダムに登場するエピソードなのですが、那貴という登場人物が「あっちで食う飯がうまいから」といって、所属する軍(チーム)を変えるという場面があります。

得られる褒美でも、組織でのより高いポジションでもなく、心地良さや空気感でチームを選ぶというのは、共感できる感覚です。

横峯 樹

一方で、同じチームになったからといって、メンバー全員のWillを100%理解するのは難しいとも考えています。なので、実際のチームマネジメントではその前提に基づいた仕組みを整えています。

チームで世界観を共有して、OKR(Objectives and Key Results:目標と主要な結果)に落とし込んで、個人としての「こうしたい」とチームとしての「こうしたい」をすり合わせていく。結果として、チームでの明確な共通言語ができていくというイメージです。

この過程・仕組みによって、メンバーがそれぞれのWillを持ちつつも、チームとしての方向性を共有できるようになります。

これは、私が「ウラカタ」の事業責任者になってはじめに着手したことでもあります。

チームの世界観を目標として言語化すると同時に、各メンバーの話を1on1で聞き、私からも問いかける。「個人の将来の夢として、どういう人になりたいか」、「事業にどう関わりたいのか」を目標設定シートで1人1人決めていきました。

順番としては、個人のやりたいこと・目標を先にヒアリングし、個人目標とチームが成し遂げたいこととの繋がりを意識して目標設定するという流れです。

個人のやりたいことや成長したい領域、今なぜここにいるのかを意識するこのようなメンバーとの向き合い方は、親会社であるアカツキ社から影響を受け、そとあそびに根付いたものだと思います。

三田
理想的なチームはどのようなものだと思いますか?

チームの状態に100点はないと思います。理想は、時代や今の状態に合わせて柔軟に形を変えていけることではないでしょうか。

目的意識や、「これいいよね」という感覚に人が集まってくる仕組みを考えていくことが重要だと考えています。たとえば、現在そとあそびには社員の2倍以上の「そとあそびという会社・サービスに関わってくれる人」がいます。

そこには様々な繋がりがあって、必要に応じて仕事を任せられるような関係です。その結果、事業を作り、サービスを社会に提供してくうえで、いろいろな人の考え方を参考にできています。そうした人たちとの関係はこれからも大切にしていきたいですね。

またその関係において、会社の中にいる・いない、契約して仕事を発注している・していないということは超えていけるものだと思います。業界のこと、どこかの島のこと、新しいレジャーのこと、そんな情報交換だけの相手も貴重な繋がりだと考えています。

三田
そのような繋がり・関係の軸になるのは人でしょうか?それともサービスでしょうか?

関わるモチベーションが「人」になることはあります。「この人のために」という気持ちでサポートすることはありますよね。

ただ、感覚的には、人と人との関係の中心にサービスのビジョンや思想、世界観が存在していると思います。人を通してそれらを見るようなイメージです。「この人がここまで情熱を注ぐなら手伝ってもいい」と感じることってあるじゃないですか。

そういうものに人が集まっていくようになってきていると思います。

そう考えると、私たちのサービスでもこの感覚は当てはまるのかもしれません。たとえば、「ウラカタ」という予約台帳システムの思想が、今、会社の枠を飛び越えて業界を巻き込もうとしています。

横峯 樹
「ウラカタ」が持っていた思想が企業から企業に伝わり、「それって業界の課題だよね。じゃあ一緒に解決するために何かやろう」というかたちでチームになっていっています。サービスの思想があるから会社を超えてチームができてきていると感じます。

個人は、必ずしもみんながみんなそれぞれのWillを強く持っているわけではないと思います。むしろ、サービスが強い思想を持っていれば、そこに惹かれるのです。

正直なところ、私自身も最初からアウトドア事業をしたかったわけではありません。社会人になって、思想に触れる機会があって、自分事化してきた結果です。

「こういう感じが気持ち良いから関わりたい」でも十分Willだと思います。そして、本来それでいいのに、そういえない社会になってしまっているとも感じます。

三田
「親会社であるアカツキ社から影響を受けた」という話がありましたが、アカツキ社のチーム作りについて注目していることがあれば教えていただけますか。

思想や企業文化の浸透に力を注いでいるところがすごいと感じています。

2016年に私たちの会社がグループ会社になったとき、アカツキ社は50名規模の会社だったのですが、すでに当時の代表である塩田 元規さんの考えや企業文化を社内に浸透させていく役割の人が社内にいました。

今は「ハートフル」と呼ばれているチームなのですが、このチームのメンバーは「なにがこの組織の中で心地良い状態なのか」を常にアウトプットするという役割を担っています。

アカツキ社のようにゲームを作る会社が世の中に数多くある中で、何が自分たちの特徴で、何を良いと思っているのかを突き詰める人がいるんですね。

そういう存在がいることで「これっていいよね」みたいな価値観が社内に生まれます。文化や思想が共有されて、「この場所・このチームが心地良いよね」とメンバーみんなが思えるようになる。

そうすることで、会社の中にいる人たちの居心地の良さがあがって、モチベーションとパフォーマンスも上がっていく。その結果人が定着して、社外から見たときに他社との違いが生まれて、求職者から給与だけで選ばれるようなことがなくなってくる。

そんなサイクルを、アカツキ社は作り上げているんです。これはすごいことだと思いますね。

オンラインにもオフラインと同じ空気感を

三田
オンライン化・デジタル化の流れが個人と会社に与える影響についてどうお考えですか?

私も聞いた話なのですが、コンテンツとプロセスという考え方があります。私はこれをオンライン化によって影響を受ける例だと考えていて、社内のメンバーにも伝えています。下記の図がコンテンツとプロセスの考え方を視覚化したものです。

コンテンツとプロセス

オンラインでのコミュニケーションで伝わるのはコンテンツの部分、オフラインのコミュニケーションで受け渡しができるのがプロセスだと思います。

多くの人がオンラインに難しさを感じるのは、見えない部分が受け取れなくなるからです。互いに想像せざるを得なくなって、労力がかかってしまっているのです。これがいわゆるリモート疲れの原因だと思います。

そのような事態を回避するために、チームでは「オンラインでもプロセスの部分を大切にしよう」という話をしています。具体的には、週1回集まって、全員でプロセス部分に触れやすい質問をするようにしています。

たとえば、「先日、●●さんが待ち合わせをしていて、相手が5分遅れたそうです。遅れたのが15分だった場合、●●さんはどうしていたでしょうか?」というようなものです。

このようなコミュニケーションを通じて、人の思考を想像し、感情を理解する癖づけを目指しています。みんな大事だとわかっているのに、普段は意識しにくいことだからです。

このようにして他愛のない会話をオンラインに取り入れるためのアプローチは、オフラインで対話していたときのように、「しょうもないことを言っていいんだ」という空気感を生み出します。それが重要だと気づいたのです。

オンライン化によって必ずしもだれかと直接関わる必要があるわけではないとわかった一方で、関わりが全くないのは健全ではないことが明らかになったと感じます。

これまでの在り方にとらわれないチームが増えていく

三田
チームの未来はどのようになっていくと思いますか?

あまり未来を語るような人間ではないので、少し難しいのですが……これからのチームということで言えば「時代に合わせて柔軟に考えられるチームがより求められていく」でしょうか。

もう1つは、チームの中心にはいつも思想や考え方があって、そこに興味を持って協力したいと思って集まるメンバーが増えていくと思います。それも会社に属しているとか関係なく、そこにあるのは、たった1つのアドバイスをしたいという気持ちだけで良いのかなと。

そのような、これまでの在り方にとらわれないチームが、これから数多くできていくと思います。

またその際、働く場所はどこでも良くなるでしょう。私は「オフィスは、集まれるときに集まれる場所で良い」、「集まるのは義務ではなく、権利」というような考えに賛成です。

とはいえ、会う頻度はバラバラでも、コアなところは会って話したいという気持ちもあります。これはチームの空気感がオンラインになって感じられにくくなっているからなのだと思います。

チーム独自の空気感は画面越しではなく、対面のコミュニケーションを通してできていくものだという感覚がありますね。私にとって、その空気感がチームの「心地良さ」に必要だとも感じます。

このように、メンバー1人1人が「何が心地良いのか」、「心地良さのために何が必要なのか」を意識することは、チームとして良い状態を維持するために重要だと考えています。そして、そのような機会は今後も大切にしていきたいですね。

まとめ

「チームの未来」インタビュー第9回目は、株式会社そとあそび 代表取締役 横峯氏に話をうかがいました。

個人がチームになるのは、共感できる思い・情熱によって人が集まるときだと、横峯氏はいいます。これからは会社の中にいるか外にいるかといった枠組みよりも、人やサービスが持つ「思想」や「世界観」が重要だという言葉には説得力がありました。

このような考えは、実は普段私たちが無意識的に持っているものではないでしょうか。なぜその仕事を面白いと思うのか、そのチームに加わりたいと思ったのかを改めて見つめなおすと、自分がその仕事をする意味・そのチームにいる意味がより明確になるはずです。

人の情熱やサービスの思想に触発されて、チームが生まれていくという姿は、働き手がこれからより柔軟に自分の好きなものと関わり、チームになっていくためのヒントになりそうです。

執筆者・編集者紹介

執筆

正社員+業務委託で4社と契約を結ぶパラレルワーカー。様々なチームに所属し、1つの会社に依存しない働き方を体現しています。ライターとして800本以上の記事制作実績があり、得意分野は組織、キャリア、働き方関連。

編集

様々なバックグラウンドがある個人が尊重され続けるチーム作りを目指して、「対話」と真剣に「楽しく遊ぶ」ことをデザインしたチームづくりのためのプログラム「アクティ場 For Team」を提供しています。

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