書籍『強いチームはオフィスを捨てる』に学ぶ、在宅勤務におけるコミュニケーションとチーム作り

在宅勤務 チーム作り

米Basecamp社は約20年前からリモートワークを実践しています。
同社のリモートワークについてのノウハウがまとめられた書籍『強いチームはオフィスを捨てる』から、新しい時代の働き方について考えてみましょう。

<目次>
①リモートワークのこれからと新しい時代の働き方
②2001年からリモートワークを実践している米Basecamp社
③Basecamp社のノウハウがまとめられた書籍『強いチームはオフィスを捨てる』
④リモートワークでのチーム作りに必要なコミュニケーション
⑤まとめ

リモートワークのこれからと新しい時代の働き方

リモートワーク

2020年、多くの企業が新型コロナウィルスの影響を受け、迫られてリモートワークをスタートしました。その後、感染拡大の動きが一時的に落ち着き、社会は社員に出社を求める企業とリモートワークを継続する企業にわかれています。

今後、新型コロナウィルスの影響がどのような経過をたどるのかは計り知れません。また、全く別の要因で今回のように人々が家から出るべきではない事態が発生する恐れもあります。

在宅勤務を解除した企業も、継続している企業も、リモートワーク・テレワークに対して、改めて備えなくてはならないでしょう。

急ぎ足のリモートワークに企業はどう対応したか

2020年3月から6月にかけて、世の中ではリモートワークやテレワーク、在宅勤務といった言葉が多くのニュースの見出しに使われました。ある記事はリモートワークの快適さを、またある記事は家で独り働くことの孤独を取り上げました。

企業目線ではリモートワーク時のマネジメントの難しさや、オフィス同様に仕事していることを確認・管理する大変さとその解決方法が紹介されているものもありました。

多くの企業が、社員が目の届かない場所にいってしまうことに不安を感じていたのです。しかし本来、企業が求めているのは「見られているからちゃんと仕事をする社員」ではないはずです。

リモートワークを導入し、在宅勤務になる社員に対して、企業はどのような姿勢で対応すればいいのでしょうか。約20年前からリモートワークを実践しているある企業の姿から、新しいワークスタイルについて考えていきましょう。

2001年からリモートワークを実践している米Basecamp社

リモートワーク Basecampアメリカ合衆国イリノイ州シカゴにBasecamp社というWebアプリケーションの開発を手がける会社があります。創業時の社名は37signalsで、2014年に主力サービスの名前だった「Basecamp」に社名を変更しました。

同社は1999年にジェイソン・フリード氏と他2名がWebデザイン会社として設立し、2019年には設立20周年を迎えました。社員が基本的に全員リモートで仕事をしている点が特徴で、世界中、32の都市にメンバーがいます。

現在同社が手がけているのは「Basecamp」、「Highrise」、「Know Your Team」という3種のアプリケーションで、それぞれに下記のような特徴があります。

・Basecamp

Basecampは37signals(現Basecamp社)が手がけた最初のアプリケーションとして、2004年に開発されました。Basecampはプロジェクト管理ツールであり、to-doリスト、マイルストーン管理、メッセージ掲示板、ファイル共有、タイムトラッキングといった機能をもっています。

・Highrise

Highriseは顧客管理に対応した連絡先管理Webアプリケーションで、2007年にリリースされました。画像、ノート、連絡先詳細といった情報を統合した「person and company pages」を編集・保存することで、顧客情報を管理できるものです。初期段階から対応しているDropboxをはじめ、様々なアプリケーションと連携しています。

・Know Your Team

Know Your Teamは同社が手がけるマネージャー支援ツールです。1on1ミーティングを実施するための機能をベースに、ミーティング内容のフィードバックし、マネージャーがよりよいリーダーになるための支援を行うツールとして、多くの企業から支持を得ています。

Basecamp社のノウハウがまとめられた書籍『強いチームはオフィスを捨てる』

Basecamp社はメンバー全員が原則リモートワークで、上記アプリケーションを開発してきました。

同社はどのようにしてリモートワークというワークスタイルを実践してきたのでしょうか。代表であるジェイソン・フリード氏は共同経営者であるデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン氏とともに、そのノウハウを1冊の書籍にまとめています。

『強いチームはオフィスを捨てる』に学ぶリモートワークのポイント

強いチームはオフィスを捨てる
ジェイソン・フリード(2014)『強いチームはオフィスを捨てる 37シグナルズが考える「働き方改革」』(高橋璃子訳)早川書房

書籍『強いチームはオフィスを捨てる』には2001年からリモートワークを行ってきた同社のノウハウがつまっています。

今回は現在リモートワークを実施している、あるいはこれから導入しなければならなくなる企業に向けて、書籍の内容を紹介したいと思います。

リモートワークを円滑に行うポイントを4つピックアップしますので、ぜひ参考にしてみてください。

1、仕事の進捗を共有する場を作る

同社が長年実践していることとして、雑談のように仕事の進捗を共有する場を設けるというものがあります。狙いとしては2点あり、1つ目はリモートワークで孤独にならないように、もう1つは各自が自ら報告内容を作る(仕事をする)意識を持つためだといいます。

この方法をとることによって、上司が確認しなくても、メンバーがチームに対して仕事の進捗を報告し、進捗を報告するために自分の仕事をするようになるということです。

2、正しい評価を行えばメンバーがマネージャーの監視から逃れられる

リモートで仕事をすると、仕事の評価は成果物基準になります。マネージャーはメンバーに対して、会議やミーティングなどで進捗確認を求め、仕事の手をとめさせますが、リモートワークではその頻度は大幅に減少します。

もしリモートで頻繁に会議や報告を求めれば、すべてログに残るため、マネージャーはメンバーを監視しにくくなります。それはメンバーがのびのびと働けること、ひいては生産性の向上につながるのです。

3、毎日顔を会わせないからこそ採用時には人柄を大切に

同書には、リモートで働く仲間を採用する時のポイントも記載されています。具体的には、毎日顔を合わせないならスキルだけを見て判断すればいいのではないかと思われがちだが、そうではないということが書かれています。

顔の見えないオンラインでのコミュニケーションだからこそ、仲間たちに気持ちの良い対応ができる人のほうがいいということです。社内で少人数のメンバーからリモートワークをスタートし、成功事例を作る際にも、気にかけたいポイントだといえます。

4、メンバーの働きすぎを防ぐ

見えないところで仕事をするメンバーに対して、しっかり時間通り働いているかを心配する人が多いかもしれませんが、その逆はどうでしょうか。

リモートで仕事をしていると昼食をちゃんと食べているか、家にいるからといって時間の区切りなく働いていないかといったことが見えにくくなります。リモートワークではむしろ、働きすぎていないかを気にかけるべきだと同書には書かれています。

リモートワークでのチーム作りに必要なコミュニケーション

在宅勤務 コミュニケーション

『強いチームはオフィスを捨てる』で語られることのなかにはもう1つ、「リモートワークで良いコミュニケーションをとり、良いチームを作る方法」というものがあります。

そして、そのことについて、同書は常にオープンにされていて、自由に出入りができて、メンバー同士が対話できる場として、社内のチャットスペースを用意していたと説明しています。

つまりリモートワークでチームワークを高めるために、ときには全員が仕事から離れて対話し、つながりを感じられる場を用意するといいということです。

いい換えると、リモートワークには家のなかにいながらにして、仕事から離れられるサードプレイス的な場を作り、共有することが大切だといえるでしょう。

合わせて読む:【リモートワーク時代のサードプレイス】個人・企業・チームに大切な第3の場所とは

そして、アクティ場ForTeamではそのような機会を必要とする企業向けに、「オンラインパーク」という対話型オンラインコミュニケーションの場を提供しています。


https://team.actiba.net/onlinepark/

オンラインパークのコンテンツとして現在用意しているのは下記4種です。

  • 4コマプレゼンテーション研修
  • チームビルディングにブックダイアログ研修
  • ビジネスアイデアを生み出すダイアログ勉強会
  • マーケティングダイアログ勉強会

なかでも「4コマプレゼンテーション研修」と「チームビルディングにブックダイアログ研修」は研修という名がついているものの、内容としてはチームビルディング用のアクティビティとなっています。

リモートワークでチームのメンバーとの距離を感じているなら、オンラインで実施できるプログラムを通じて、仲間との理解を深められる時間をもってみてはいかがでしょうか。

⑤まとめ

今回はオンラインコミュニケーションで意識したいポイントと、オンラインでの様々な集まりに適したプラスアルファのツールを紹介しました。

これらのツールを活用すれば、オンラインでのミーティングやイベントに参加するときに、その場に合う自分を演出できます。

また、自分が主催者になる際には、いくつかのツールを使い分けてオンライン慣れしている姿を見せることで、参加者から安心感・信頼感を引き出せるでしょう。

今後、社会が安定しても、以前のような毎日会社に出社する働き方や、現場に行って楽しむことが最良という考え方には戻らないといわれています。

これから、まだまだオンラインビデオツールの用途拡大が予想される今こそ、一歩先の活用法にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

<画像出典・参考一覧>
・Basecamp社「We the Basecamp!」
https://basecamp.com/about
・ジェイソン・フリード(2014)『強いチームはオフィスを捨てる 37シグナルズが考える「働き方改革」』(高橋璃子訳)早川書房
https://www.amazon.co.jp/dp/4152094338