リモートワークのマネジメントってどうやるの?在宅での仕事が不安な社員と上司のための「ダイアログ」

リモートワークマネジメント
新型コロナウィルスの感染が急速に拡大するなか、4月7日に政府が緊急事態宣言を発令。仕事はどうするのか、公共交通機関はどうなるのかといったことに、社会の注目が集まりました。
今回の緊急事態宣言を受けて、リモートワークを本格的にスタートする企業も増えてくるでしょう。この記事ではリモートワークで社員をマネジメントする際に意識したい「ダイアログ」というコミュニケーションの形について説明します。

<目次>
①コロナ感染拡大を抑制するために鍵となるリモートワーク
②リモートワークのメリット・デメリット
③リモートワークを成功させるためのポイント
④まとめ

コロナ感染拡大を抑制するために鍵となるリモートワーク

4月7日、政府は緊急事態宣言を発令しました。今回対象となったのは東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県。緊急事態宣言が発令されたことにより、各都府県の知事は、移動や活動を制限する要請および指示を出すことが可能となりました。

企業で働く社会人にとって関係の深い部分では「外出」についての事項が挙げられます。政府の緊急事態宣言の内容をまとめた日本経済新聞の記事によれば、外出については下記のように説明されています。

「宣言の対象となった7都府県の知事は住民に外出を自粛するよう要請する。食料買い出しや職場への通勤は認めるものの、感染が広がらないよう自宅にとどまってほしいという要請だ。ただ、あくまで『要請』なので従わなくても罰則はなく、自宅待機を強制することはできない」

また、通勤に必要な交通機関の動きについては次のように伝えられました。

「安倍晋三首相は『電車やバスの公共交通機関は運行される。道路を封鎖することもない』と明言する。鉄道各社への減便要請についても『考えていない』と述べている。JR各社など鉄道会社は運行を維持する。高速道路も通行止めは計画していない」

リモートワークに切り替える意味

今回の緊急事態宣言では仕事での移動を自粛する要請はありませんでしたが、安倍首相は記者会見のなかで、「人と人の接触機会を最低7割、極力8割削減できれば、2週間後には感染者減少に転じさせることができる」と外出自粛への協力を呼びかけました。

企業1社1社、働き手1人1人が「出社し、仕事をする」というこれまでの当たり前を変え、柔軟な働き方を取り入れることが必要な段階だといえるでしょう。

社会で少しずつ広まりを見せるリモートワークに対して、「導入したいとは思っていた」、「きっかけがなかった」という印象を抱いていた企業もあるのではないでしょうか。そのような企業にとっては、今がまさにスタートすべきタイミングです。

▼記事の出典および4月7日に発令された緊急事態宣言についての詳しい内容については下記を参照してください。
・日本経済新聞「緊急事態宣言で外出は?」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57702520W0A400C2000000/

・日本経済新聞「緊急事態宣言で交通は?」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57702930W0A400C2000000/

・日本経済新聞「緊急事態宣言、生活にどう影響? 外出・イベント…」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57701130W0A400C2000000/?n_cid=DSREA001

※上記は4月7日時点の情報です。

リモートワークのメリット・デメリット

では、実際にリモートワークを導入した企業や、在宅勤務を実施したビジネスパーソンはどのような感想を抱いているのでしょうか。メリットとデメリットにわけて紹介したいと思います。

<リモートワークのメリット>

  • 通勤時間がかからない。
  • 満員電車のストレスから解消される。
  • リラックスできる服装で仕事ができる。
  • 自分の感覚でエアコンの温度調節ができる。
  • メイクをする必要がない。
  • 家で昼食をとることでランチ代が節約できる。

<リモートワークのデメリット>

  • メリハリがつけにくい。
  • 集中できない。
  • おやつを食べてしまう。
  • 子供がいると仕事が手につかない。
  • さみしい。

リモートワークのメリットは何となくイメージできるものが多いのではないでしょうか。一方、デメリットは「実際にやってみると」という印象を抱く人が多いようです。

また、実際にリモートワークを実施すると、社員1人1人が自律しているかという点についても明らかになるといいます。

必要なのは自律すること・させること

というのも、リモートワークに不安を感じる人の多くは「家で1人になるとちゃんと仕事ができない」というようなことを口にしがちです。

また、チームでリモートワークに踏み切れないリーダーやマネージャーは、「リモートワークで働く部下をどうマネジメントすればいいのかわからない」といいます。

これらの発言はどちらも、社員1人1人が自律できていないために出てくるものです。リモートワークに取り組む部下と、マネジメントする上司の双方が自律することができれば、リモートワークへの心理的ハードルは低くなります。

とはいっても、互いに離れた場所で働く際に、どのように自律する意識を養えばいいのか。ポイントは「ダイアログ(対話)」にあります。

リモートワークを成功させるためのポイント

ダイアログ(対話)とは、上司と部下の間にあるコミュニケーションの1つの形です。まず、自律していない状態では両者の間にあるのは、「指示」、「報告」という一方通行なコミュニケーションです。

このようなコミュニケーションの根底には「仕事=問題解決」という意識があり、上司と部下は互いに創造的な仕事をできない状態にあります。

たとえば、上司は部下に対して「指示をしなければ仕事をしない」と考えていて、部下は「指示をもらわなければ仕事ができない」を感じていないでしょうか。

リモートワーク(=互いに姿が見えない環境で働くこと)への不安があるということは、部下は「指示がなくとも、自分1人でちゃんと仕事ができる」と思えていないということであり、上司は「自分の指示がなくても部下はちゃんと仕事をする」と思えていないということです。

ダイアログ(対話)によってコミュニケーションはどう変わるか

このような「問題解決」と「指示」を前提とする仕事への取り組み方の限界と、ダイアログ(対話)という新しいコミュニケーションの形について、『ダイアローグ 対話する組織』という書籍のなかでまとめられています。

<出典>
Amazon:中原淳, 長岡健(2009)『ダイアローグ 対話する組織』ダイヤモンド社

同書はダイアログ(対話)について、下記のように説明しています。

「コミュニケーションをもっと双方向、インタラクティブな環境の中にとらえる。ロジカルなものだけでなく、必要に応じてストーリーを語り合い、意見を述べ、相互に理解を深めていき、考え方や行動が変化してくプロセス。そこに「対話」(ダイアローグ)というコミュニケーションが浮かび上がっています」

また、ダイアログ(対話)が問題解決型・指示型の仕事の進め方を変えていく過程については次のようにまとめられています。

「知識の共有や知識の伝達といった導管メタファー的な発想(一方通行のコミュニケーションの意※著者注釈)を捨て去り、協調的に問題を解決していくアクティブなネットワークを構築することこそが知識を共有することだということです。
(中略)
社員1人ひとりが指示待ちの姿勢を捨て去り、主体的に考え判断し行動を起こすことです。自分の認知や行動を自分でモニタリングしつつ、コントロールして成果を上げる個人(中略)メタ認知や自己調整学習能力のある個人が多くの企業で求められてる人なのです」

特に「自分の認知や行動を自分でモニタリングしつつ、コントロールして成果を上げる」という部分については、「自律」についての説明そのものです。そして、これは在宅で1人で仕事ができるかを判断する、1つの基準になるのではないでしょうか。

ダイアログ(対話)がベースにあるマネジメント

「リモートワークでのマネジメントに不安がある」と感じれば感じるほど、部下に細かい指示を出したくなるかもしれませんが、それは適切なコミュニケーションとはいえません。

部下との関係で本当に実現したいのは、上司の意思にそって仕事をするメンバーを育てることではなく、自ら考えて行動できるメンバーを育てることではないでしょうか。

リモートワークでのマネジメントに悩みや不安があるなら、「仕事=問題解決するもの」、「部下とのコミュニケーション=指示を出すもの」という考えから脱却することが重要です。

チームとして、組織として、「ダイアログ(対話)を通じて、協調的に問題を解決していくアクティブなネットワークを構築する」ことができれば、メンバーとの関係はより良いものになり、リモートワークを不安なくスタートできるはずです。

チームでダイアログ(対話)に触れるオンライン研修

なかにはすでにリモートワークをスタートしてしまったという企業もあるかと思います。すでに離れた場所で仕事に取り組んでいるチーム・組織には、オンライン研修でダイアログ(対話)を学ぶ機会を活用するといいでしょう。

アクティ場 For Teamは働く人に向けたチームビルディングを支援するプログラムです。今回新たに、リモートワークでのコミュニケーションに悩むチーム・組織を支援するため、オンライン研修をスタートしました。

<アクティ場 For Team/オンライン研修ページ>

オンライン研修

https://team.actiba.net/onlinepark/

この記事を通じて、ダイアログ(対話)というコミュニケーションの形に興味がわいたという方はぜひ一度上記ページをご覧ください。ご相談・ご質問についても、気軽にお問い合わせいただけます。

まとめ

今回はこれからリモートワークを導入したいと考えている企業や、スタートしたリモートワークで部下のマネジメントに悩みを抱えている上司に向けて、リモートワークを不安なく実施するポイントをまとめました。

リモートワークへの不安は、現在の上司・部下間やチーム内でのコミュニケーションが一方通行な状態になっているという課題から来るものなのかもしれません。

リモートワーク導入に合わせてダイアログ(対話)を意識し、互いが自律し、双方向のコミュニケーションが行き交うチーム作りを目指してみてはいかがでしょうか。