社会人として仕事をしていると、組織のなかで仲間とコミュニケーションをとることになります。今回はそのような職場でのコミュニケーションについて注目したいと思います。
意識だけでは改善することが難しいコミュニケーションの課題を解決する方法についても、紹介します。部下・上司との関係に悩むビジネスパーソンやチーム・組織をまとめるポジションにつくリーダー・マネージャーに参考にしていただきたい内容です。
<目次>
①部下・上司とのコミュニケーションに悩みを抱える社会人は多い
②日々の仕事のなかでは改善するのが難しい課題
③職場にサードプレイスをつくる
④まとめ
部下・上司とのコミュニケーションに悩みを抱える社会人は多い
日々の仕事のなかで、チームのメンバーや同じ職場の仲間とのコミュニケーションに悩みを抱える社会人は少なくありません。みなさん自身やみなさんの周囲のことに目を向けた際、心当たりがあるものではないでしょうか。
「職場で仕事以外にどんな話をすればいいのかわからない」
「上司に話しかけるタイミングをいつも見計らっている」
「部下に声をかけるとき、ためらわれて結局声をかけないことがある」
など、職場でのコミュニケーションの悩みは様々です。特に上司から部下への、また、部下から上司に向けたコミュニケーションは、同僚間よりもさらに難しさを感じることが多いということが、メディアなどで定期的に取り上げられています。
何度も取り上げられてきた上司と部下のコミュニケーションについての話題
たとえば、日経ビジネスのWeb版には「職場のコミュニケーションをどう深めるか」、「第9回 「コミュニケーション」力は磨けるか?」という2つの記事が掲載されています。いずれの記事でも、フォーカスされているのは部下と上司の会話です。
また、日経XTECHには「「会話が苦手」という悩み」という記事が掲載されていますが、こちらは上司との雑談が苦手な部下のエピソードからスタートします。
これら3つの記事は2018年7月、9月、2019年9月にそれぞれ掲載されたものです。定期的に取り上げられていることから、上司と部下のコミュニケーションというテーマが、多くの社会人の頭を悩ませている課題だということがわかります。
日々の仕事のなかでは改善するのが難しい課題
なぜ多くの人は「コミュニケーション」という課題に頭を悩ませているのでしょうか。私たちは社会人になるまでにもいろいろな集団生活を行ってきたはずです。学生生活は数多くのタイプの集団行動を経験する場だったといっても過言ではないでしょう。
クラス・委員会・部活・サークル・ゼミなど、私たちは社会人になる前にいくつかの種類の集団を経験し、それぞれの場所でコミュニケーションをとってきたはずです。
それが、社会人になり、仕事を中心とするチーム・組織になった途端に難しく感じられる。それは一体なぜなのでしょうか。その答えは職場で過ごす時間に「サードプレイス」がないからです。
サードプレイスとは
サードプレイスという言葉の意味を一言で表現するなら、それは「インフォーマルでパブリックで時間を過ごせる場所」となります。
この際、インフォーマルとは「他者に強制されない、個人の自由意思にもとづく活動」を指し、パブリックは「1人で行う活動ではなく、他者との関わりのなかで行う活動」をそれぞれに指します。
つまりサードプレイスとは自由意思で選択した者同士が集まり、他者に強制されることなく他者と関わりながら活動する場所なのです。このように言い換えると、学生時代に部活やサークル活動、ゼミなどを通じて経験したことがあると感じられるでしょう。
そして、そのようなサードプレイスではメンバー同士が様々なジャンルのコミュニケーションを自然に行っていたことが思い返されるはずです。
職場でのコミュニケーションが難しい理由
一方、職場は学生の時のようなコミュニケーションをとることが難しい場所です。なぜなら、職場は仕事の目標や成果に向かって努力することが求められ、何もかもを自由意思で行うことができないからです。
つまり、サードプレイスの要件となるインフォーマル(他者に強制されない、個人の自由意思にもとづく活動)とは対極的な要素を持つ環境だといえるでしょう。そのことを多くの社会人は肌で感じ、周囲とのコミュニケーション方法を変えてきました。
あるいは自分で気づけず、「話し方がなっていない」、「学生気分が抜けていない」といった言葉によって周囲との関わり方を変えざるを得なかった人もいるでしょう。
このように職場は本来、サードプレイス的ではない側面を持っています。前提として、自由で活発なコミュニケーションが制限されている場所なのです。それは売上や利益といった共通目的を追い求め、目標を達成するために最適化された形だといえます。
そのため上司・部下とのコミュニケーションが苦手な社員に、「もっと活発にコミュニケーションをとるように努力してはどうか」、「意識を変えてみてはどうか」といったアドバイスをしても効果がないのです。
職場にサードプレイスをつくる
では、どうすれば職場でのコミュニケーションを活性化できるのか。その方法の1つとして「職場にサードプレイスをつくる」という手段があります。職場での最適化されたコミュニケーションから、抜け出す場所に部下や上司、仲間を連れ出すのです。
具体的な方法として、『ダイアローグ 対話する組織』という書籍のなかで、学びのサードプレイスをつくるという手法が紹介されています。職場での学びと聞くと、企業内で行われる研修を思い浮かべる方もいるかもしれません。
しかし、この企業内での研修は学びのサードプレイスとは対極にあるものです。研修と学びのサードプレイスの相関については下図をご覧ください。
<参考>
『ダイアローグ 対話する組織』に掲載されている図を参考に作成。
上記からは「研修」がフォーマルでプライベートな学び、つまりは他者に求められ個人で行うものであるということがわかります。
一方で「学びのサードプレイス」はパブリックでインフォーマルな学び、つまりは自由意思にもとづき他者との関わりのなかで得る学びです。そして、「学びのサードプレイス」には、「研修」にはない「対話」という要素があります。
キーワードは「対話」
なぜ研修がサードプレイスの対極にあるのか。そのイメージをつかむために、既存の社内研修の実施風景を思い浮かべてみてください。それはたとえば次のようなものです。
- 指定の時間に会議室に集まる社員
- 全体に向けて一方的に話をする講師
- 終了後は各自で研修レポートを作成・提出
そこに自由意思も他者との関わりもありません。そしてなにより問題なのは、そこに対話がないことです。このような時間を過ごしていると、職場でのコミュニケーションが難しくなるのは自然なことではないでしょうか。
部下・上司とのコミュニケーションに課題を抱えているなら、既存の研修のような機会を「対話」を軸とする学びのサードプレイスへと変えていくことが大切なのです。
またその際、すべてを自社で企画・運営するのではなく、外部サービスを活用するのも1つの方法です。
「サードプレイス」の役割を果たす具体的なサービス
学びのサードプレイスに求められるのは参加者が自由に選択し、他者との対話を通じて学びを深めることです。今回紹介する「アクティ場 For Team」は対話によって互いを理解し、自然なコミュニケーションをとるきっかけとなるプログラムを提供しています。
アクティ場 For Teamは、誰もが慣れ親しんだ遊びを拡張した、働く人たち向けの次世代チームビルディングとして、これまで各種プログラムを提供してきました。
現在は「本」、「カメラ」、「シネマ」、「ドローイング」という4つのテーマのレクリエーションが用意されています。そして、これらをオンライン上で実施できるプログラムとして、この度スタートしたのが「オンラインパーク」です。
オンラインパークで提供しているのは、オンラインで企業内に学びのサードプレイスをつくることができる「対話型(ダイアログ)オンライン研修」です。
社員がオフィスに集まる機会が減っている今だからこそ、オンラインで学びのサードプレイスを設けてみませんか。興味をお持ちの方は、下記ページをご確認ください。
<アクティ場 For Team|オンラインパーク>
https://team.actiba.net/onlinepark/
まとめ
職場でのコミュニケーションは仕事で効率良く成果をあげていくために、最適化されたものです。そのため、部下や上司と楽しく交流するコミュニケーションをとりにくいのは自然なことです。
また、そのコミュニケーションを活性化するために、そのままの環境で努力や意識をするのには限界があります。
仲間とのコミュニケーションをより良いものにしていくためには、職場内にサードプレイスをつくり、仕事と離れた場所で交流することが有効です。
組織・チームでのコミュニケーションに課題がある場合、上司もしくは部下から犯人探しをする必要はありません。チーム全員で学びのサードプレイスでの時間を過ごすことで、コミュニケーションを活性化し、チームワークを高められるはずです。
<出典>
日経ビジネス「職場のコミュニケーションをどう深めるか」
https://business.nikkei.com/atcl/skillup/16/061500027/070200008/
日経ビジネス「第9回 「コミュニケーション」力は磨けるか?」
https://business.nikkei.com/atcl/skillup/16/091400022/083000009/
日経ビジネス「職場のコミュニケーションをどう深めるか」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00703/00010/
中原淳, 長岡健(2009)『ダイアローグ 対話する組織』ダイヤモンド社
https://www.amazon.co.jp/dp/4478005672